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O.N.O Interview

2014年8月22日の名古屋MAGO「Devotion - Insight Music Special -」は、Lifetime Boogieから Quantonic、そして今回インタビューをした O.N.Oのダブルリリースパーティーとして開催されます。ゲストLIVEに DEEP COVER 、PA・Mixに内田直之という最強の布陣で「精神や肉体の外側を超える」というパーティーを試みます。今回のインタビューはその前哨戦として、よりO.N.Oというアーティスト、そして人間を掘りさげ、当日皆さんが外郭をジャンプするイメージの助けになることを願っています。

O.N.O , New Album " Ougenblick " Released

今日は6月に発売された久しぶりのアルバム「Ougenbrick」についてや、どうしても聞いてみたかった質問など、インタビューという形で O.N.O の深部に迫ることができたらと思っています。

よろしくおねがいします。
まずはアルバムが久しぶりじゃないっていうところからだね。
TBHR からは確かに五年半ぶりなんで誤解されがちだけど、俺自身は onomono 名義でもアルバム出してるし、リミックスワークやアナログカットとなんだかんだ毎年リリースでも動いてるよ。

個人的にも昨年9月に出たアルバム「Unifys」など好きです。リミックスワークでは Calm さんの “ Dusk Till Dawn ” Remix が新しい O.N.O ワールドを切り開いてましたね。
クラブシーンの現場でも各地のパーティーインフォメーションでかなり “ O.N.O a.k.a MachineLive ” の文字を目にします。最近では年間どのくらいLIVEをしているんですか?

年間…40~50?くらいかな?たぶん。Ougenblick のツアーも既にはじまっているしね。久留米、佐賀、京都、豊橋、熊本、福岡、とやってきた。(2014年7月現在。)

これまでの6ヶ所の中で特に印象的だったパーティーはありますか?

どれも本当に楽しかったけど、印象的と言われたらやっぱり一番記憶の新しい福岡だね。HIKARU もMantis も良かった。
自分のLIVEもやりやすかったし。KIETH FLACK はDJでもLIVEでも結構やってるからさ、馴染む。音も最近すごく良くなってきたしね。福岡の街のパワーみたいなものを感じるよ。


長い旅の瞬間、瞬間を切り取って連続させた = Ougenbrick

アルバムタイトルの「Ougenbrick」はどんな意味なんですか?私を含め多くの人が初めて聞いた言葉だと思うんですが。

元はドイツ語圏で使われる「Augenbrick」という言葉なんだ。意味は瞬間とか、刹那とかいうもので、「Ougenbrick」は造語だよ。自分でつくった言葉。こっちの意味は簡単に言えば「瞬間の連続体」。俺の曲やアルバム自体全部が造語でできているしね。MachineLive も間を詰めているし。

O(= O.N.O)の Augenbrick というような?

そうだね。O.N.OのLIVE行脚や日々の制作を瞬間、瞬間、切り取って繋げたような。うねりというか。

曲名が造語、単語の間を詰めて1つの言葉に、というのは Quantonic とも共通しますね。(※Quantonic Interview参照)
何か特別な理由はあるんですか?

いろいろあるけど1つに「検索」はデカイね。THA BLUE HERB や自分の音楽をはじめた頃はまだインターネットが普及してなくてさ。特に考えず「O.N.O」ってつけたんだけど、これが後になって情報をネットで探す時代になったらすごく検索しづらいっていう!
それで SIGNALOG とかも全部まず検索かけて、他にこの言葉が存在しないか調べてから名付けるようになった。
onomono もそうだよ。タイプも楽だし、見た目も気に入ってる。MachineLive の間詰めてるのもそう。検索すればすぐ出てくるでしょう。
Quantonic のアルバムも単語の間詰めて1つの言葉にしてるんだね。もしかしたら同じ発想かもしれないね。


Plain of Jars - Laos

来日したら本人にも聞いてみます◎
Quantonic と O.N.O の共通点で言えば、Lifetime Boogie では「旅人特有の空気」だと考えています。両者とも多国籍というか無国籍というか、非常にユニバーサルなサウンドだと感じます。
イグ(Quantonic)も世界の各地を回っている生粋の旅人なんですが、O.N.Oさんもかつて、アジアなど各国をまわっていましたよね。

しばらく行ってないし、旅のこと自体を久しぶりに思いだしたよ。
確かにアジアも、欧州も、いろいろ回ったね。SELL OUR SOUL(THA BLUE HERB の 2nd アルバム) のトラックなんかはかなり旅に直結した部分があるけど、今ではもう旅の経験は生きるってこと自体に影響していて、直接的に音楽に表れているわけではないかもね。ただ、THA BLUE HERB よりも制約なくつくっている分、多国籍とか無国籍っていうのはより濃く出ているかもしれない。
旅で言えば、こと Ougenbrick に関しては LIVE TOUR の旅からバッチリ直結しているね。すべて各地の LIVE で生まれたモノからつくってるし。ずっと続いてる旅(LIVE TOUR)の瞬間、瞬間を切り取って連続させたアルバムだから。
言われてみれば週末は完全にバックパッカーだね!最近やっと、バックパッカーで食えるようになってきたのかもしれない 笑

パーティーピーポーから放たれるフロアの音楽

8月22日に名古屋MAGOで開催される Quantonic とのダブルリリースパーティーでは、「身体や精神の外郭を飛び越えられる音楽」として出演をお願いしました。当日O.N.Oがどんな “飛び” を見せてくれるか、我々もかなり楽しみにしています。

Devotion、ポスターもいいね。行きたくなる!バンドのLIVEともラップトップだけのLIVEとも違うMachineLiveは、「見る」よりも、ぜひ「中」に入ってきてほしいな。
1曲1曲を見せていくLIVEっていうよりは、パーティーやDJのつくるそれに近いというか。流れとか、うねりとかね。
LIVE中、基本的にすべての楽曲を止めずに繋げるし。1曲や瞬間単位ではなくて、それが繋がって連続している生命体だね。LIVE自体がまさに Ougenbrick っていう生きものだよ。いろんな表情を見せるんだ。
それでいて自分自身、生粋のクラバーだからさ。遠征先でのLIVEの後とか、オフの週末の札幌とか、大抵ダンスフロアで遊んでるんだ。
だからフロアにいる人の意識はよくわかると思うよ。自分がフロアでいい音楽聴いて解放して楽しみたいからさ。

O.N.Oさんには過去にもLifetime Boogieのパーティーに出演してもらったり、様々な現場でお会いしていますが、ご自分のLIVEの後はよっぽどの理由がない限り必ず朝方まで会場で遊んでいますよね。

それが楽しみの旅だったりもするしね。仕舞いには朝方、誰も照明ブース入ってなくてずっと同じ光のままだったりしたら照明の人探しにいっちゃうから 笑
音もそうなんだけど、ずっと一方向からって飽きちゃうんだよね。遊んでいる時は特にそう感じる。
フロアでは音楽はもちろんのこと、照明、光も人を踊らせると思うんだ。棒立ちから照明変わったきっかけで踊りだしたりとかさ。
隣の人も踊ってるように見せる照明ってあるんだよね。なかなかフロアで遊ぶことを考えて出来る人は多くないかもだけど。
もちろんパーティーやフロアは1つの要素じゃなく、遊ぶ人のコンディションとかいろんな要素で素晴らしいものができるってのは基本なんだけどね。
照明にしろ、VJにしろ、1つの要素としてパーティーをいいものにしたくてやっているのか。自分の好みはそういうところで別れるね。
あくまで音楽と光と、それをやっている人達と遊びに来て踊っている人達のセッションだからさ。オーガナイザーや箱も“遊ばせ方”みたいな、ダンスフロア視線になって考えてくれたパーティーは楽しいと感じるね。

完全にパーティーピーポーの視点ですね。熱いです。入口のドアの開け閉めでダンスフロアに急に明るい光が入って、熱が冷めてしまう時もありますからね。我々も今一度そういうところに気を締めて8月22日の名古屋に挑みます。

今回のアルバムジャケットもそうですが、自分の周りでもO.N.Oさんのイメージって「コックピットの中で日夜パッドをすり減らすマッドプロフェッサー」的なところがあると思います。

機材狂ぽいってことでしょ?

そうとも言えます。
だけど実際はバックパッカーでパーティーピーポーで、日本や世界を回って毎週末フロアに現れて、ものすごいアクティブですよね。
博士とか研究室とか籠っているってイメージは結構ギャップを感じますね。

実は全然違うよね。自分ではわかりやすいと思うんだけどな。単純に音楽とパーティー好きの人間だよ。O.N.Oのアルバムとか聴いてもらって、会場で会って、そのギャップを楽しんでもらえたら嬉しいけど。

禁断の質問

私自身、O.N.Oさんと初めて直接お会いしたのは2007年なんですが、最近、ずっと質問してみたかったことがあります。
ズバリ、キャラ弁についてなんですけど、、、ここでお伺いしても宜しいですか?

うん。いいよ。
キャラ弁については少し誤解もあるようだし、折角だからここでハッキリさせておこう。

これは、、、ご快諾ありがとうございます!
最初に興味を持ったのは2007年のMETAMORPHOSEの時、移動の車内でO.N.OさんとCalmさんがお互いパスタをよく調理する話をしていて、これが二人ともやたらと細かいんですよ、考えていることが。
一体この人達は食べて仕舞いのパスタで何を表現しようとしているのかと 笑
その数年後に公式TwitterやO.N.Oさんご自身からキャラ弁をつくることがあると聞き、その完成された画像を拝見して、何か音楽制作や、モノづくりそのものと密接なのでは?と考えました。そして「なぜキャラ弁をつくるのか?」です。

そんなことあったね!そのメタモ懐かしい。子供できる前だな。
まずね、音楽のMIXと料理ってかなり近いと思っている。自分の思う唯一の違いは、料理は後で引くことができないってところ。

いきなり確信ですが、やはりそこはリンクしているんですね。

そうそう、自分の頭の中でもかなりリンクしていてさ。例えば圧力釜なんかはWAVESのL3並みのコンプ感、とかね。塩もコンプ系だね、ゲート感もでるし。スタジオでMIXうまくいかなかった日は料理に置き換えて発散とか。

そしてここからがハッキリさせておきたいとこなんだけど、料理好きだから家族のご飯もつくるし、娘の弁当(普通のもの)はガチで毎朝つくってるんだよね。
毎朝3時か4時に起きてスタジオで仕事して、7時くらいには一度家に戻って弁当つくり。ここ3年、平日は全部こうだよ。
で、キャラ弁は特別な時にたまにつくる感じだよ。娘のためにやってるんであって、独身の男の毎朝の趣味、とかでは決してないんです 笑
ただ、キャラ弁は料理ってカテゴリーとはちょっと違って、自分の中では「造形」なんだ。しかも上手くつくるにはかなり技術がいるんだよね。それが楽しい。

キャラ弁の日は娘さん、かなりアガるんじゃないですか?

うん。まあ喜んでるかな。でも普通の弁当の方がキレイに食べる。キャラ弁つくるときは、もう1つちゃんと栄養のバランスとか考えた弁当も持たせるんだよ。食の進むやつ。
キャラ弁はもう周りをアゲる用というか、インパクトだね。THA BLUE HERB とのギャップのせいか、娘よりTwitterとか周りの大人の反応の方が激しいかもしれない◎

弁当2枚使い!ものすごくちゃんとお父さんしていますね。
(O.N.Oの公式Twitterアカウント@onomonojpで、キャラ弁の画像から日々の制作までチェックできます。)

家族も音楽も大切なものだよ。
ずいぶん Ougenblick や MachineLive の話とかけ離れちゃったけど大丈夫?

とても興味深い話を聴かせて頂いたと思います。どうもありがとうございます。
8月22日のパーティーでお会いできるのを楽しみにしています!

最後に、何か現場以外でO.N.Oの近況に触れられるようなものはありますか?

onomonoページやサウンドクラウドに、自分の楽曲を組み直してフリーダウンロードでガンガン上げているのでチェックしてみて下さい。
LIVEでもたくさんやらせてもらった曲達なので、もう皆で共有できたらいいなと思っています。
昔つくったときよりも、現場の空気やいろんなものを取り込んで、ある意味現時点での完成系になっていると思う。
ツアーもまだまだ続いているので、LIVE、是非来て下さい。22日の名古屋MAGOもね。皆さんぶっ飛んで下さい。